
「農業に参入したいが、機械やハウスへの初期投資が重い」——就農を考える個人にも、農業への参入を検討している企業にも、共通する悩みではないでしょうか。令和8年度、この壁を下げる新しい制度が動き出しています。認定新規就農者を対象にした「新規就農者チャレンジ事業」です。対象年齢を65歳未満まで広げ、農業用機械・施設の導入に個人1,500万円以内、法人3,000万円以内という規模の支援を行う制度で、生活資金にあたる経営開始資金の増額とあわせ、就農前後の資金の壁を国が段階的に取り除こうとしている動きが見えてきます。今回は、この制度の中身と、農業参入を考える際にどう活用できるかを整理します。
生活資金と設備資金、2つの支援が動いている
新規就農者向けの資金支援は、大きく2つの流れで拡充されています。ひとつは、就農直後の生活を支える「経営開始資金」です。これまで月12.5万円だった単価が、令和8年度から月13.75万円(年165万円)に引き上げられ、最長3年間交付されます。対象は原則49歳以下です。もうひとつが、今回新設された「新規就農者チャレンジ事業」で、こちらは認定新規就農者のうち65歳未満の方が対象となり、農業用機械・施設の導入費用そのものを個人1,500万円以内、法人3,000万円以内で支援します(農林水産省ウェブサイトで事業概要を確認。金額要件の詳細は複数の民間解説記事で一致した内容として紹介されていますが、実施要綱の一次確認は済んでいないため、実際の申請にあたっては市町村や農政局の窓口で最終確認をおすすめします)。生活費と設備投資、性格の異なる2つの資金が、就農前後を通して切れ目なく用意されつつあるのが今の状況です。
「65歳未満」という年齢設定が意味するもの
これまでの就農準備資金・経営開始資金は原則49歳以下が対象でした。今回のチャレンジ事業が65歳未満まで対象を広げている点は、単なる制度の拡充以上の意味を持ちます。定年後にセカンドキャリアとして農業参入を考える個人や、既存事業からの多角化として農業に参入する企業経営者など、これまでの年齢要件では対象から外れていた層にも門戸が開かれた形です。GREEN BENEFITのお客様の中にも、本業を持ちながら農業への参入や新規事業としての就農を検討する方がいらっしゃいますが、こうした層にとっては特に見逃せない変化だと言えます。
国の予算方針も新規参入の後押しを継続
農林水産省が2026年8月31日に公表した令和9年度(2027年度)予算の概算要求では、新規就農者の育成に217億円、スマート農業技術・新品種開発と農業機械導入に951億円が計上されています。単年度の制度変更にとどまらず、複数年度にわたって新規参入を後押しする方針が続いていることがうかがえます。制度の細部は年度ごとに変わる可能性がありますが、「新規参入者への資金支援を厚くする」という大きな方向性自体は、当面続くと見てよさそうです。
申請前に確認しておきたいこと
一方で、これらの制度を使うには前提となる手続きがあります。多くの場合、まず市町村から「青年等就農計画」の認定を受け、認定新規就農者になることが出発点です。また、資金の種類によって年齢要件が異なる(就農準備資金・経営開始資金は原則49歳以下、チャレンジ事業は65歳未満)ため、自分がどの制度の対象になるのかを早めに整理しておく必要があります。交付要件や対象経費の細部は実施要綱に定められており、申請前に都道府県・市町村の窓口や農政局に相談することが農水省のサイトでも案内されています。情報収集と手続きの準備に時間がかかることを見込んで、早めに動き出すことが結果的に近道になります。
まとめ
新規就農者チャレンジ事業と経営開始資金の増額は、生活資金と設備資金の両面から、新規参入のハードルを下げようとする令和8年度の制度変化です。特に対象年齢が65歳未満まで広がったことで、これまで対象外だった層にも新しい選択肢が生まれています。GREEN BENEFITでは、農業への参入や新規事業の立ち上げを検討する経営者の方に向けて、こうした制度をどう組み合わせて使えるかを一緒に整理するご相談も行っています。まずは自分の状況がどの制度の対象になるのか、棚卸しから始めてみませんか。