🌿 高温対策

猛暑に負けない米づくり 高温耐性への転換で経営を守る

2026年7月20日 | 読了:約3分
猛暑に負けない米づくり 高温耐性への転換で経営を守る(イメージ画像)

今年も厳しい暑さが続いています。気象庁が発表した3カ月予報では、2026年7〜9月の平均気温は全国的に平年より高くなる見込みです。稲作にとって、この時期の高温は決して他人事ではありません。登熟期の暑さは、米の品質と収量、そして経営の数字に直接跳ね返ってくるからです。

猛暑が奪うのは「一等米」という収入

実際、猛暑がコメ経営に与えた打撃は数字にはっきり表れています。2023年産米は記録的な猛暑の影響で、全国の一等米比率が平年77%程度から59.6%まで急落しました。地域によってはさらに深刻で、新潟県産コシヒカリでは一等米比率が平年75.3%からわずか4.9%まで落ち込んだケースもありました。

この品質低下の主な原因は「白未熟粒」と呼ばれる現象です。登熟期に高温が続くと、米粒にデンプンが十分に蓄積されず、粒が白く濁ってしまいます。見た目だけの問題ではなく、等級が下がれば買取価格も下がる、経営に直結する問題です。2025年7月の全国平均気温は平年より2.89℃も高く、1898年の統計開始以来最も高い記録となりました。幸い2025年産は梅雨明け後の天候が比較的安定し、大きな品質低下は避けられましたが、「今年は運が良かった」で済ませられる状況ではなくなっています。

猛暑はもはや一過性の異常気象ではなく、毎年向き合わなければならない構造的なリスクです。だからこそ、場当たり的な対応ではなく、経営として体系立てた対策を持つことが求められています。

効果が実証されている3本柱

農林水産省の調査によると、農業者が実施した高温対策のうち、効果が高かったものは「高温耐性品種の導入」(41%)、「水管理の徹底」(32%)、「施肥管理の徹底」(12%)の3つで、全体の8割を占めています。特別な設備投資をしなくても、栽培管理の工夫だけで大きな効果が期待できるという点は、中小規模の農家や農業法人にとって心強いポイントです。

品種面では、農研機構が開発した「にじのきらめき」が全国的に注目を集めており、西日本向けには「恋の予感」「つやきらり」「秋はるか」といった品種があります。茨城県でも「いちほまれ」「ふくまるSL」「にじのきらめき」を高温耐性品種として推奨しており、従来品種と比べて猛暑年でも品質を保ちやすいことが確認されています。作付け品種の一部を高温耐性品種に切り替えるだけでも、リスク分散になります。

水管理では、分げつ期の深水管理によって籾数の過多を防ぎ、白未熟粒の発生を抑える効果があります。また登熟期はできるだけ収穫間際まで通水を続けること、夜間にかけ流し灌漑を行って地温を下げることも、品質改善に有効とされています。施肥面では、令和7年産の実証試験で、通常より5cm深く耕うんし、出穂前2日頃に窒素を1kg/10a追肥したところ、白未熟粒が減少して整粒歩合が17%、収量が16%それぞれ向上したという結果も出ています。栽植密度は坪当たり50〜60株程度に抑えることも、白未熟粒対策として効果的です。

「守り」の対策が、次世代への「攻め」になる

高温対策は、単なる守りの技術ではありません。気候変動に適応した米づくりを地域ぐるみで進めることは、その土地の稲作を次の世代に引き継いでいくための土台づくりでもあります。GREEN BENEFITが大切にしているのは、農業と環境、そして地域の暮らしを一体で考える視点です。一軒の農家の高温対策は小さな一歩に見えても、地域全体で品種転換や水管理の見直しが進めば、その土地の農業の持続可能性そのものが底上げされていきます。

品種転換や栽培体系の見直しには、農林水産省や自治体による実証事業や支援策も用意されています。情報のキャッチアップが早い経営体ほど、変化に強い体質をつくることができます。まずは自分の圃場でどの対策から着手できるか、今シーズンの実績を振り返りながら検討してみてはいかがでしょうか。来年、再来年と続くであろう猛暑に対して、今この夏の経験を「来期への備え」に変えていくことが、これからの米づくりには欠かせません。

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