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米価が下がり始めた秋に、見直したい新米の「売り方」

2026年9月28日 | 読了:約3分
米価が下がり始めた秋に、見直したい新米の「売り方」(イメージ画像)

「去年はあれだけ高かったのに、今年の新米はどうなるのか」——稲刈りを終えた、あるいは今まさに刈り取り中の米農家さんから、そんな声をよく耳にします。

農林水産省がまとめている全国のスーパー約1,000店舗の販売データでは、9月14日〜20日の週の米の平均価格は5kgあたり2,934円でした。前の週より37円安く、6週連続の値下がりです。3,000円を下回ったのは約2年ぶりのことで、2週続けて2,000円台となりました。

昨年の「令和の米騒動」からわずか1年で、流れははっきり変わりつつあります。今回は、数字で現状を確かめたうえで、値下がり局面で手取りを守るための「売り方」と「備え」を考えます。

数字で見る、いまの米の需給

値下がりは店頭だけの話ではありません。JAなどの出荷業者と卸売業者との間の取引価格(相対取引価格)は、2026年8月に玄米60kgあたり31,556円となり、前月から930円下がりました(農林水産省、2026年9月18日公表)。

背景にあるのは在庫の多さです。2026年7月末時点の全国の民間在庫は162万玄米トンで、前年の同じ時期より70万玄米トン多くなっています(農林水産省、2026年8月28日公表)。

産地の概算金にも影響が出ています。JA全農にいがたは、2026年産の一般コシヒカリの概算金を玄米60kgあたり1万8,500円に決めました。報道によると、前年産の当初と比べて約4割の引き下げで、同会は「過去に例がない下落率」としています。

高値に慣れた1年のあとだけに、「去年と同じ売り方」では手元に残るお金が大きく変わってしまう可能性があります。

見直しポイント1:「概算金」ではなく「最終手取り」で比べる

販路を選ぶとき、つい目に入るのは概算金や買取価格の数字です。しかし、実際に手元に残るお金は、そこから手数料、運賃、袋や資材の代金、乾燥・調製の費用などを差し引いたあとの金額です。

JA出荷、集荷業者への販売、米屋や飲食店への直接販売、ネットでの直販——それぞれ、見かけの単価と差し引かれる費用の組み合わせが違います。直販は単価が高く見えても、発送の手間や梱包代、売れ残りのリスクを含めると、思ったほど差が出ないこともあります。

一度、販路ごとに「60kgあたりの最終手取り」を同じ物差しで並べてみることをおすすめします。

見直しポイント2:売る時期と売り先を分ける

値動きが読みにくい年ほど、全量を一つの販路、一つの時期に寄せるのは危険です。

たとえば、肥料・農薬代や機械の支払いなど、秋から冬にかけて必要なお金を先に計算し、その分だけを早めに現金化する。残りは契約栽培や直販、時期をずらした販売に回す。こうして「売る量・時期・相手」を分けておけば、どこか一つの価格が下がっても、経営全体への打撃を和らげられます。

あわせて、今年の販売結果を品種・販路ごとに記録しておくと、来年の作付けや販売計画を立てるときの確かな材料になります。

見直しポイント3:価格の下落に「保険」をかけておく

販路の工夫だけでは防ぎきれない下落に備える仕組みもあります。代表的なのが「収入保険」です。

収入保険は、青色申告をしている農業者(個人・法人)が対象で、前年1年分の青色申告の実績があれば加入できます。保険期間の収入が基準収入の9割(5年の青色申告実績がある場合の上限)を下回ったとき、下回った額の9割を上限に補てんされます。価格の下落だけでなく、災害などによる収入の減少もまとめて対象にできるのが特徴です。

なお、米・畑作物の収入減少を補う「ナラシ対策」や農業共済などとは、どちらかを選んで加入する仕組みになっています。どれが自分の経営に合うか、加入の手続きや時期も含めて、最寄りの農業共済組合に早めに確認しておくと安心です。

まとめ・行動提案

米価の上がり下がりは、一軒の農家の力では変えられません。けれども、「どこに、いつ、どれだけ売るか」「下がったときに何で支えるか」は、経営者が自分で決められることです。

まずは次の3つから始めてみませんか。

高かった去年を基準にせず、今年の数字で経営を組み立て直す。その一歩が、来年以降の安定につながります。

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